最高裁判所第一小法廷 昭和34年(あ)229号 決定 1960年3月03日
主文
本件上告を棄却する。
理由
被告人李秉玉の弁護人中野博義の上告趣意は、違憲をいう点もあるが実質は単なる法令違反、(調書の一部に契印がなくてもその形式、内容から正当に連絡があると認められるときはその調書を無効とすべきものでないことは当法廷の判例の趣旨とするところである。昭和二四年二月二四日判決集三巻二号二三八頁参照)量刑不当の主張を出でないものであり、被告人南けい守の弁護人河田広、同有賀正明の上告趣意は、事実誤認の主張を出でないものであって、いずれも刑訴四〇五条の上告理由に当らない。
よって同四一四条、三八六条一項三号により裁判官全員一致の意見で主文のとおり決定する。
(裁判長裁判官 高木常七 裁判官 斎藤悠輔 裁判官 入江俊郎 裁判官 下飯坂潤夫)